たーくん。

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コーヒーカップから元気よく飛び出して踊っている白い湯気。
朝の食後は、やっぱり熱いコーヒーに限るよな。
よし、冷めないうちに……。
「パパー!きがえてつだって!」
幼稚園児の息子が、パジャマ半脱ぎ状態でやってきた。
「どうやったらそんな起用な脱ぎ方が出来るんだ?そんな子にはくすぐりの刑だぞ~!」
「きゃー!」
俺がくすぐりポーズをしながら近づくと、息子はきゃーきゃーとはしゃぎながらリビングを走り回る。
「二人共~!遅刻しちゃうから早く準備して!」
妻が台所から顔を出し、俺達に言った。
「は~い」
「はい……」
朝からママ怪獣を怒らせたくないので、俺達は素直に従う。
息子の着替えを手伝い、俺も会社へ行く準備をして……ん?何か忘れているような……。
テーブルの上には、コーヒーカップが乗っている。
そうだったそうだった。俺はコーヒーを飲もうとしていたんだった。
あとは家を出るだけなので、椅子に座って熱々のコーヒーを味わうことにしよう。
だが、白い湯気は踊り終え、コーヒーはぬるくなっていた。

9/26/2025, 11:22:56 PM