虚書/Kyokaki

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【テーマ:紅茶の香り】

テーマには悪いけど、僕紅茶飲めないんだよね。なんていうのかな、紅茶の後味の酸味?それがどうしても口に合わない。
まあ僕には麦茶っていう相棒が居るから。紅茶が飲めなくても水分は補給できるし、茶を飲むことはできる。だからなんとかなるはずだ。
ちなみにスーパーで紅茶パックを買ったことも、電気ケトルを使ったことも、レンチンの経験もない。料理に関しては初心者の中の初心者である。矛盾は許して。





 朝。起きろと急かしてくる光のせいで、目が覚めてしまった。折角の休日、こんなに早く起きたのはなんだか得のような損のような……妙な気分だ。
 今日はいつものコーヒーよりカフェインが少ないといわれる紅茶でも飲んで二度寝でもするか。棚の少し奥の方からスーパーで買った安物の紅茶パック詰め合わせの袋を取り出す。あまりにも雑な保管方法は、きっと紅茶好きにでも見せたら怒られてしまうんだろう。
 適当に電気ケトルでお湯を沸かし始める。いつもは最初にする筈なのだが、休日という言葉が持つ魔力がもたらしたデバフ──状態異常──のせいだろう。つい忘れていた。
 沸くまでの間、タッパーに保管しておいた白飯に残り物を乗せた簡単丼をレンジで温める。 温め始めたと同時に湯が沸いたことを知らせる機械音が鳴り響いたので、少し大きめのコップに注いでからパックを入れる。この調子だと食後になりそうだな。
 そうして軽快な音がなった扉を開け、白い湯気が空気中で揺蕩う丼をこちらへ迎え入れる。ダイニングテーブルへ持っていくのが面倒くさくて、近くにある足場用の低い椅子に座ってそのまま食べる。うん、美味い。
 その後丼も洗い終わり、ふと香ってきた独特な匂いで放置していた紅茶を思い出す。口に含むと、やはりコーヒーとは違った酸味や苦味などを感じる。
 飲み終わったら寝よう。その後は……まあ、起きたらでいいか。紅茶が残る部屋でぼんやりと考えた。

10/27/2023, 11:22:18 AM