ところにより雨(オリジナル)
家を買いたいと思っている。
なので、街を歩くたび、人の住まう家に目がいった。
ここはどんな人が何人で住んでいるのだろうか。
この辺は何がウリで、何がデメリットだろう。
スーパーが近い方が良いか、学校が近い方が良いか。
騒音はどうか。隣人はどうか。
今日は友人と街を歩いていた。
彼は私が家を買いたい事を知っているので、話題は自然と家の話になった。
「高層ビルはどうよ」
「オール電化は災害時に心配だなぁ」
「一軒家は?」
「庭の手入れとか面倒そう」
「庭ない方が良いん?前に野菜栽培したいとか言ってなかった?」
「そう。だからベランダで育てたい」
「じゃあアパートかねぇ」
家々を眺めながらそんな話をしていた矢先、突然、バシャリと何かが頭に降ってきた。
「へ?」
メガネが水滴で汚れ、突然の雨かと空を見上げると、晴天だった。
続けて視線を友人に向けると、彼は全く濡れていない。
彼は唖然とした表情で私を見ていたが、濡れ鼠の私を見て、プッと吹き出した。
どうやらアパートの側を歩きすぎたらしい。
真上を見ると、私の理想のベランダつきアパートで、植物を育てているベランダからニョキニョキ緑がはみ出して見えた。
部屋の住人が雑にジョウロで水やりしたのだろう。
勢い余って外まで飛んできて、真下にいた私に降ってきたという塩梅のようであった。
なんというジャストタイミングか。
「わははは!」
「まぁ、鳥のフンよりは良いが…」
私はハンカチで頭や肩を拭きながら上を向いて犯人を探したが、ごめんの言葉も降ってこなければ、下を伺う顔もなかった。
ここは、ところにより雨のリスクあり。
心に刻むのであった。
それ以来、外を歩く時は建物から離れるようにしている。
3/24/2026, 12:50:04 PM