あなたの小指とわたしの小指を、赤いリボンで結んでみる。
なんだか不思議なくらいドキドキしてしまった。
手なんて何度も触ってるし、繋いだこともたくさんあるのにね。
「なんだこれ? 新しい遊びか?」
「えっと……おまじないみたいなものかな。大好きな人とずっと一緒にいられる、おまじない」
「……ふーん」
「あっ。邪魔だったらすぐ外すね。ちょっとやってみたかっただけなの」
恥ずかしくなってきて慌ててそう言ったわたしの頭を、あなたは撫でてくれた。涼しい目元が優しく細められる。
「別にいーよ。今なんかしてるってワケじゃねーし。暫くこのままにしとくか」
「う、うん」
「それに心配すんなよ。お嬢にお役御免だって言われるまでは、俺はちゃんとお嬢の傍にいるからさ」
「……。……うん」
ああ。またこの言い方だ。
最近、あなたはよくこんなふうに言うの。
まるでわたしがいつか、あなたを要らないって言うみたいに。
そんなわけないのに。ずっとずっとそばにいてねって、ずっとずっと言っているじゃない。
それとも、わたしのことがイヤになっちゃったのかな……。
「どした?」
「……ううん」
わたしは不思議そうに瞬きをするあなたに微笑みかけて、それからリボンを結んだ自分の小指をキュッと握りしめた。
7/1/2024, 4:25:24 AM