海月 時

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「明日世界が終わるなら、何がしたい?」
僕の顔を覗き込みながら聴く彼女。あの時は何も言えなかった。でも今から言える。僕はー。

【隕石激突!地球最後の日。】
そう大々的に書かれたポスター。〝地球最後〟実感の湧かない言葉。まぁ、この人生が早く終わるなら別にいいけど。そんな事を考えながら家に帰った。

部屋に入ると、彼女との写真が目に映った。彼女は空想が大好きで、良くSF小説を読んでいた。誰よりも優しくて、可愛い彼女。しかし、そんな彼女はもう居ない。事故に遭って亡くなった。その時は絶望し、涙が止まらなかった。それでも、時は全てを流す。涙は枯れてしまった。僕は、写真を伏せた。

もうすぐ地球が終わる。隕石は視認できるほど近くに来ている。外には誰も居ない。静けさだけを感じられた。僕は今、彼女の墓の前に居る。最後の墓参りだ。
『昔よく話したよね。地球最後の日にやる事。』
彼女の声が聞こえた。僕が顔を上げると、彼女が笑顔でそこに居た。
『結局、君は何も答えてくれなかったけど。』
拗ねたような顔を見せる彼女。僕の頬には温かいものが流れた。逢いに来てくれたんだ。
「君が消えてからね、ずっと思ってたんだ。早く終わりたいって。でも、良かった。また君と出逢えたんだから。」
『私も君に逢いたかったよ。』
僕達は笑い合った。地球が終わるまでずっと。

地球最後の日。僕の願いは、君ともう一度恋をする事だ。

6/7/2024, 2:47:16 PM