シオン

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(権力者が下の方だとバレたあと)
 ある日突然、鉄格子の四角い明るい単色の何かができた。
 偉い人たちができた原因知ってるかと、報告書提出ついでに尋ねようとしたら、全く分からず調査中だからと、そもそも会えなかった。
 これだけの大きさが自然発生するわけもなく、ついでにボクの管轄にあるせいで原因が一人に絞れてしまった。
 溜息をつきながら犯人を探せば、できた何かの上に座っていた。
「…………演奏者くん」
「やぁ、権力者」
 いつもの調子で彼はそう応じた。
「登っておいでよ」
「…………なんでこんなの作ったの」
「登ってきたら教えてあげるよ」
 頑なに言ってくる。ひとつため息をついて、正方形のとこに足をかけながら、一段ずつ登ってどうにか彼の方まで行く。下を見ると格子状なせいで下が見えて、少しだけ怖気付いてしまうけど、どうにか平静を装って彼の隣に座った。
「……来たよ」
「きみが『ジャングルジム』知らないかと思って」
「………………それだけ?」
「あとは……高いとこからユートピアを見渡したかったのもある。やっぱり端までは見えないけど」
「…………ボクの管轄くらいなら見渡せるよ」
「……なんで、僕が犯人だと分かったんだい?」
「………………他の人の管轄の住人は別の管轄の場所までいけないの」
 偉い人はどういう根拠か分からないけれど、自然発生を軸に調査してるらしい。…………こんなものが自然発生なんてするわけもないのに。
「……きみのこと、もう少し知りたいよ」
「………………ボクは君の方が気になるけどね」
 寂しそうに言った彼に、若干冷たく返すと彼は笑った。

9/24/2024, 12:20:50 AM