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現在深夜3時。寒い空気に息苦しさを感じながら、ただ一心に自転車を漕ぐ。30分前に来た、あいつからの連絡。あの山頂で、待ってるから。そこから鬼電しようも何しようも連絡がつかなくなる。何故こんな夜中に必死になって自転車を漕いでいるのだろう。とんだお人好しだな、と息切れながら自分を嘲笑する。山の麓に着く頃にはもう汗だくで、自転車を投げ捨てる勢いで止めマフラーもコートも脱ぎ階段を駆け登る。時計を見るともう4時だ。息も絶え絶えで山を登りきり、山頂に乗り込む。そこには着膨れて寒さで顔を真っ赤に染めたあいつがいた。少しの間目が合った後、遅いよ。と笑いながら目を細めた。あまりの寒さに途中脱いだものをまた着直す。そうしてしばらく無言で身を寄せ合いながら星を眺める。いつの間に時間が経ったのか日の出の気配がして、隣にいたあいつが突然立ち上がった。そして夜と朝の狭間に立ちながら、少し泣きそうな顔で、 何処にいても必ず迎えに来てね 。と小さく呟く。その顔を見て自分は少し躊躇いながら、自転車でもいいかな。とはにかみながら返事をした。
                 #自転車に乗って

8/14/2024, 3:53:01 PM