朝、カーテンを開けると辺り一面に雪景色が広がっていた。この地域は毎年雪がほぼ降らないため、ここまで積もるのは大変珍しい。何故だか無性にわくわくして、上着を羽織って靴下を履き、靴をつっかけ小さな雪原に飛び出した。
歩く度にぎゅっぎゅっと小気味良い音が鳴る。初めての体験に胸がはずみ、無心で歩き回った。ふと振り返ると、新雪に刻まれたたくさんの足跡が目に入る。真っ白な、雪。その光景を見て、なんの脈絡もないけれど、自分の進路のことを思い出した。高二の冬、受験まではあと一年。
志望校はおろか、将来の夢すら思いあたらない。流されるままに生活を送ってしまったせいで、志望調査書を渡される度に憂鬱な気分になる。幸いそれなりの進学校にいるお陰で環境は整っているので、自分の努力次第で何処にでも行けるし何にでもなれると思う。ただ肝心の将来の自分だけが、どうにも上手く思い描けないのだ。
いつか、春は訪れるのだろうか。冬の朝の空気の冷たさに鼻がつんとする。見上げると、分厚い灰色の雲が空を覆っていた。春が訪れるときっと雪も溶けて、色とりどりの花々が陽の光を浴びるのだろう。そんなふうに、なれるのだろうか。足跡を振り返って、よかったと笑える日は来るのだろうか。
今はまだ、分からないけれど。少しずつでも前に進んで、この雪原の先へ。
# 2 雪原の先へ
12/8/2025, 10:25:25 AM