たろ

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【過ぎ去った日々】

過ぎ去りし日々よ。
幸せな思い出も悲しく辛い思い出も、少しずつ褪せて行くものと言われている。
時薬、時間が解決してくれる等と人は簡単に言うけれど、そんな都合の良い事は、ない。

魘される声で目が醒める。
隣で眠るあなたが、顔をしかめて身を固くしている。
「かっちゃん、起きて。戻っておいで。」
強張る体を抱えて背中を擦っていると、強張った腕がぎゅうぎゅうと縋ってくる。
「…カズ、ごめん。ありがとう。」
縋る腕は、落ち着くと弛んで離れていく。荒い息もゆっくりになっていく。
「大丈夫、大丈夫だから。」
忘れたいのに忘れられない。
それでも藻搔いて、忘れようとする。
そんな繰り返しを、ふたりで宥め合い、歩んできた。
これからも、ずっと。

3/9/2024, 12:26:06 PM