「静かなる森へ」
静かなる森へ分け入って行く。
貴方と2人、他には誰も居ない静寂な時間。
こうやって2人でゆっくりと過ごせるのは、一体いつ以来だろう?
お互いに日々の生活やタスクに追われ、ゆっくり過ごす時間を持てないまま、ただ徒に毎日を過ごしていた。
だから、こうやってゆっくり過ごせる時間は本当に貴重で。
貴方の横顔を見つめるこの時間が、ひたすら愛おしい。
貴方の手に触れれるこの時間が、堪らなく嬉しい。
もっと沢山こんな時間を持てれば良かった。
でも、日々生活に、現実に追われる私達は、そんな時間を持てずにここまで来てしまった。
そして、気がついたら、すれ違いはどんどん大きくなり、もう取り戻せない所まで来てしまった。
何処で気付けば引き返せたのだろうか?
いつやり直せば、元に戻れたのだろうか?
逆に、もっと進めば痛みなく終わらせる事が出来たのだろうか?
沢山の何故や後悔を重ねて、自問自答する。
でも答えは出なくて、ただ目の前の現実に涙する。
もうこれで貴方とは逢えない。今日がホントの最後。
貴方の笑顔も、声も、姿も、今日が見納め。
貴方は、この深い森の中で眠るの。
誰にも見つからず、誰にも顧みられる事もなく、ひっそりと朽ちていくの。
私の好きだった笑顔も、手も、声も。
全てが朽ちていくの。
そうやって、貴方は自然と一体になって、ずっと私の側に居るの。
今まで一緒に過ごせなかった時間を、これから取り返すの。
この森の中で。
5/10/2025, 11:55:14 AM