月に住む猫

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「ハッピーエンド」


「プロデューサー様、
私を見つけてくださり、
めいいっぱい愛してくださり、
たくさんの楽しいお仕事をくださり、
歌を歌う場をいくつも設けてくださり、
10年という長い時間を
病める時も健やかなる時も
歩幅を合わせて共に歩んでくださり、
本当にありがとうございます。
今、私がシスターとしてではなく、
1人のアイドルとして歌を歌えているのは、
紛れもなく貴方様のおがげです。」

彼女はそう言ってくれるような気がした。


私が人生で1番時間を共にしたゲームが、
本日、サービス終了となる。

私が愛した彼女はいつも笑顔で、
私に感謝を伝えてくれていた。

「私の力なんかじゃないんだよ。
貴方がとっても素敵だからだよ。」

そうやって伝えてあげられたら、
どんなによかっただろうか。


私はずっと、歌が大好きな彼女に
歌を歌うための声が付いていないことを気に病んでいた。
そのせいでお仕事も、
スポットライトが当たる事も本当に少ないから。

もっともっと、彼女を歌わせてあげたい。
いろんな経験をさせてあげたい。
いつも人のことばかりな彼女に、
自分のことで喜びを感じてほしい。


それだけをただひたすら願っていた。
でも、叶わなかった。


それでも、きっと、彼女は
何の曇りもない言葉で今日も私に
「ありがとう」と言うのだろう。


だから私もちゃんと伝えなくてはいけない。


「もう、ここにいた貴方には会えなくなっちゃうけれど、
貴方の物語は続いていく。
ずっとずっと見守っているからね。
たくさん歌ってね。
たくさん笑ってね。
きっといつか、必ず、
貴方の声がみんなに届くからね。
大丈夫、大丈夫だよ。
貴方の優しい気持ちは、
いつだって私に伝わってる。
ひとりじゃないよ。
ずっとずっと、一緒にいようね。
本当の本当に、ありがとう。大好きだよ。」


今日は、私と貴方の、
ハッピーエンド の日。



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3/29/2023, 7:42:21 PM