しんと静まる夜。
今日は恋人が夜勤で居間にひとりでソファに座っていた。
テーブルの前にはココアが湯気を失いかけている。それだけ時間が経った証拠。
眠ろうとは思ったんだ。
でも、彼が居ない寂しさに負けてしまった。
まあ、明日はお休みだから、頑張って眠ろうとも思わなかった。
そう。
明日は私も彼も休みだ。
彼が帰ったあと、彼にぎゅーってしてもらって眠ってから、のんびり買い物デートしよう。
あのお店見て、こっちのお店を見て……。
そんな想像をしていたら、少し楽しくなってきた。
コップを手に取りココアを口に含むと、すっかり冷たくなっていた。甘さが控えめになっていて、苦味が目を覚ます。
あ。
窓の外に視線を送ると、下の方からオレンジ色が差し込んできていた。
夜が明ける。
もう少ししたら、彼が帰ってくる。
そうしたら大好きな彼の笑顔が見られるんだ。
私の静かな夜明けが終わる。
おわり
二六六、静かな夜明け
2/6/2025, 2:19:18 PM