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大事にしたかった、もっとあなたの事。
永遠に好きだと言わせたかった。
ただ、その明るい笑顔が好きだから、ずっと一緒にいたかった。
その、元気な声を聞く度に、私は笑顔になった。
二人はそれを、共有していた。
愛してる。
その言葉だけで、その日一日が幸せだった。
一日中、ずっと抱き合って寝ていた日もあった。
二人ともお互いを尊重しあい、彼も私のことを嫌いではなかったし、私も彼のことが嫌いではなかった。
ただ、ある日の夜、彼は突然いなくなった。
私を置いて、彼は消えた。
なぜだろえかと思ったら、彼は人魚だったのだ。
私とは身分違いの恋だったのだ。
白い髪、白い肌、白い声。
いつか見た本当の姿。
そうして鱗が着いていて、長いヒレが綺麗だった。
本当に、彼は人魚だったのだ。
カルキ抜きの塩素を水槽に入れる度に思い出す。
彼が、この水槽の中を、ものすごく気にしていたということを。
「おはよう」
と、挨拶したら、
「おはよう!」
と、抱きしめてくれる。
「今日も元気だね!」
とキスをする。
それで、私は魚になる決意をしたのだ。
彼と同じ身体になって、この生のある限り、彼を探し続ける決意をしたのだ。
という訳で私は、この水槽の中に、吹きだまっている。
彼は、どこに消えたのだろう。
朝起きたら、フローリングの床には、びっしょり濡れた跡が残されていた。
さあ、私はどこに消えよう。
彼は海へとたどり着いたのだろうか?
そのヒレで。

9/20/2023, 10:26:09 AM