ソラキ

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『拝啓 私の神様へ』
と、本当なら書きたいところだが、困惑させるのが目に見えるので素直に作者の名前を1行目に書いた。今から私は大好きな漫画の作者にファンレターを書く。
「……」
一考し、名前を消しゴムで擦って白紙に戻した。もっと綺麗な字で書かないと。だってこの手紙は私の神様が読むんだから。

私の神様が、読むんだから

あ、やばい。頭の中で急激にその事実が重くのしかかった。息を長く出し、少し冷静になる。いま私走っても無いのに息が荒くなってた。
落ち着こう、再度名前をゆっくりと書く。よし綺麗。次、2行目。
シャーペンを握りしめる。
シャーペンを強く握りしめる。

--ダメだ。さっきの事実がやっぱり頭から離れられない。
物語を創る人に、私の創った文を送るなんてちょっと、畏れ多すぎたかもしれない。数ミリでもいいから良い文を書きたくてまた考える。

手紙ってこんなに大変なんだ。
思わず唸るがそれでも辞めようとは全く思わない。
だって私、大好きなんだ。生きる希望を与えてくれたとか、人生の素晴らしさを知った、とかそんな大それた思いでは無いけれど、それでも。
私はこの漫画に出会えて良かったと、心の底から強く、強く思っている。
「よし」
もう一度シャーペンを握りしめ、動かした。一画ずつ、丁寧に。思いが伝わるように。



/神様へ

4/14/2022, 4:06:22 PM