彼女と旅行に来た。
「秋斗見て、沖縄の海めっちゃきれい!」
無邪気で可愛い笑顔で言う。
「梓は海が好きだね」
ホテルのベッドに寝転びながらそう答えると、彼女は急に真剣な顔になった。
「海は、お父さんの仕事場だったんだ」
あまりにも静かだから、思わず起きてしまう。
「小さい頃、よく連れてってくれて『海は心の友達、辛い事、悲しい事があると助けてくれる』ってよく言われた」
一旦話を止めた彼女の顔を見ると、涙で濡れていた。
「でも、その“海”にのまれて死んじゃったんだけどね」
耐えきれず、俺は彼女に聞いた。
「じゃあ…なんで海が好きなの?」
彼女は相変わらず静かな声だったけど、今度は優しい笑顔で言った。
「お父さんが海にいる、ずっと私を見てくれてるって思って、私はそれだけで、ずっと生きていけるんだ」
その笑顔を見た瞬間――
俺は、決めたんだ。
この子と、歩くんだ。お父さんのような存在になれるかは分からないけど。
でも俺は選んだんだ。
彼女と人生の旅路を歩むことを。
『旅路の果てに』
1/31/2026, 10:43:23 AM