「石田くんっていつもどんな本読んでるの?」
同じクラスの彼女は席が隣ということもあって良く話しかけてくる。
「別に決まったジャンルはないよ」
こんな時もっと上手い返し方があるんじゃないかといつも思う。
せっかく話しかけてくれた彼女もこれではつまらないだろう。
「そっか。そしたら今まで読んだ中で好きだった本はある?」
それでもなお話を続けてくれる君に柄にもなく心が弾む
「そうだね。カフェで提供される食べ物からその人の記憶を探す物語とかは結構面白かったよ」
「素敵な話だね!今度私も読んでみようかな」
「それなら僕は一度読んでいるし、良ければ明日貸そうか」
提案すると彼女の表情が綻ぶ。
「いいの?ありがとう。楽しみにしてるね」
話の区切りがついたところで丁度よく始業のチャイムが鳴る
「ふふ、また後でね」
授業中にも関わらず僕の気に入った本が君も気に入ってくれると嬉しい、なんてふと考えた。
-好きな本-
6/16/2024, 1:59:35 PM