人間は寿命が短い。俺のと比べればほんの僅かだ。
だからこそ懸命に生きている様は、見るに耐え難くなる。
そこにいる彼女もそうだ。短い一生の中、誰かのためにと一生懸命になっている。何をそんなに他人に尽くし、奉仕するのか未だに分からない。
だが何故が、その姿に惹かれてしまう自分がいる。
弱音事も吐かず、いつも笑っていて眩しいくらいに輝く様は、俺がいた場所では到底考えられなかった光景だった。
だからなのだろうか..彼女の寿命が尽きるまで、その姿を傍で見守っていたい。人間相手に永遠はないが、そう思ってしまう。我ながら滑稽な姿だが、彼女の為ならばそんなのは関係ない。
「なに物思いにふけてるの?」
「..なんでもない、昔のことだ。そろそろ帰るぞ」
はいっと返事とともに出された手を握り、いつもの道を歩き出す。この変わらない温もりを、いつまで感じていられるのだろうか。守っていられるのだろうか。
そう思いながら見上げた空には、大きな満月が自分たちを照らしていた。まるで2人を見守っているように...
11/1/2023, 2:43:25 PM