「光と闇の狭間で」
ビルの影になった裏通りは、陰気だけど、蠢く虫などをよく見かける。だんだん坂道になり、ビルもなくなると、開けた明るい空の下に出る。わたしは、どこか見えてしまう嘘くささという言葉を思い出すから、その道に辿り着くのは好きではない。
寒い冬に、ソフトクリームを買っていた。進んでいく道路に、鼻歌を歌うように、冷たさを楽しんでみる。
身にぴったりの服で体を纏うような、痛みと完璧さを感じる。
猫が、わたしを見ていた。にゃーと鳴いた。わたしは、ソフトクリームを舐める。
振り返り、来た道を戻る。白い装いが、光から陰へと移る。
冷たさが舌に痛かった。
12/3/2024, 3:16:31 AM