カシオペヤ

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僕のトナリには黄昏れた美紀がいた。
そっと手で頬に触れる。少し温もりが伝わる。
美紀はこっちを向かなかったけど、視線も真っすぐのままだったけど、意識が向いたのはわかった。

いつもよりも輝いている目は、きっと涙を流した名残りだろう。
何も言わないけど、僕は微笑む。
美紀は見ないけど、僕は思う。
今日もきっと僕はトナリにいるだけでいい。

喋ることはしないし、抱きしめることもしない。
一人じゃないって美紀が知ってる事が大事なんだ。
もう温もりも冷めた手で僕は自分の頬に触れた。
顔が温かいのか、手が冷たいのかわからなかった。

5/2/2024, 1:34:56 PM