届かないのに
お皿に盛ったポテチを、これ見よがしに口に入れた。
妹がチラッとこちらを見て、ふて腐れたようにスマホへ目を戻す。
さっきケンカをしたばかり。明らかにあっちの言い掛かりだし、これは私の買ったポテチだから、一枚だって妹にあげるつもりはない。
すると目の前で、一掴み分のポテチがパッと消えた。
「あっ」と声を上げると、ソファーの陰で妹がにやにやしている。
さらにもう一掴み分。
頭にきた私は、妹のスマホに意識を集中し、ポーンと天井近くまで持ち上げた。
妹が焦って手を伸ばしても、ちょうど手の届かない絶妙な高さで宙を漂わせる。
「ちょっと、やめてよ!」
「そっちが先に始めたんじゃん!」
幼い頃から二人で競うように習得したサイコキネシス。
こんなことにしか、お互い使い道はないのだ。
6/18/2025, 4:22:20 AM