るに

Open App

秋雨前線の到来。
急な夏の退場と
秋の訪れ。
私は軽い足取りで
真っ先に秋に会いに行った。
白雲峠。
知る人ぞ知る秘密の峠。
ここでは季節も時間も
狂っている。
主にネブラスオオカミが生息していて、
長は白髪の少女。
人に化けることが出来るネブラスオオカミは
よく私を人の姿で出迎えてくれる。
たまに猫又の師弟を見かけるが、
最近会っていないので
今はどう過ごしているのやら。
狐に似た人とフクロウに似た人は
私が白雲峠に来る理由の一つにも
なり得る人たち。
2人の雰囲気が私は大好きだ。
白雲峠に着くと、
早速もみじの葉が落ちてきた。
ここら辺はもみじばかりで
イチョウは見当たらない。
それでも私は少し見晴らしのいい所に座って
スケッチブックを開く。
紅葉がいちばん早い、というか
年中紅葉なのは白雲峠だけだ。
この景色を描きたいと思うのは
私がまだ腐ってないからなのかな。
軽く4時間ほど絵の具を滑らせ
大きなもみじの木が描けた。
下から見上げた様子、
それはもみじが一番映える瞬間と言っても
過言ではないだろう。
"Good Midnight!"
長に挨拶し、
狐に似た人とフクロウに似た人と
ちょっとした雑談をしながら
峠を去っていく。
今度は冬に。
そう、手を振りながら言った。

10/1/2025, 3:20:31 PM