「海の底」水泡が煌めきながら、水面へと昇っていった。揺蕩う、海藻はゆったりとその身を波に委ねていた。小さな小魚が忙しなく、泳ぎ回っている。まるで、どちらが速いか競走しているみたいだ。水音は鼓膜から脳に直接響くみたいだ。息が持つ限り、海の底へ向かって足をけった。岩礁の影が大きく伸びて、僕に覆い被さった。視界が悪くなり、手が海の中でもたついた。あと一息、あと一息で海の底に手が届く。息はもう限界に達していた。酸素が欲しくてたまらなくなった。それでも、まだ手と足は海の中でもがいている。あ、砂利を手が掴んだ、と思ったら一気に体勢を崩してしまい、口から大量の泡が出た。このままじゃ、溺れる。僕は息絶え絶えに地上へ向かって浮上した。「はぁ、はぁっ…後少しだった…のに。」肩で息をしながら、心臓を落ち着かせた。空を仰げば、渡り鳥が群れをなして上空を通り過ぎていった。僕は手の中で咄嗟に掴んだ海底の砂利をまじまじと見つめた。
「…これ、貝殻だ…」小さなピンク色の貝殻が手の中で存在感を示した。小さな、小さな貝殻だ。僕はふっと頬を緩ませ、浜辺へと向かって泳ぎ出した。
1/20/2026, 10:24:26 AM