通り雨
柴犬のゴン太と夕方から散歩に出た。家を出たときは雨は降っていなかったが、、ゴン太と公園を回っての帰り道、雨が降りだした。
通り雨だ。
慌てて小さなカフェの軒先に逃げ込む。犬の散歩途中だからお金も持っていないためカフェの中には入れない。軒先に立ちながら空を見上げる。
「ゴン太〜。雨やむかな。」
ワン。ワン。
ゴン太も困り顔だ。
「あの。〇〇駅はどこですかね」
急に声をかけられて驚いたが、隣には同じように雨宿りをしていたお婆さんがいた。
駅の道を説明していると雨がやみ、日が差してきた。お婆さんとは挨拶をしてそこで別れる。
「さあゴン太!帰ろうか」
私とゴン太が歩き始めると、5分ほどでまた雨が降り始めた。通り雨は繰り返すと言うが本当だ。また、近くの郵便局の軒下に駆け込む。
「あの。〇〇駅はどこですかね」
へぇ?
また同じお婆さんに声をかけられた。どういうこと?違うお婆さんだったかな。
また駅までの道を説明しなからも不思議で仕方がなかった。雨がやみ家への道を走り出す。ゴン太はお婆さんに吠えなかった。やっぱり、さっき会ったお婆さんだったのかな?
また雨が降り出すまでには家に着きたかったが、強い雨が降ってきたためコンビニの軒下に避難した。あの角を曲がれは家なのについていない。
「あの。〇〇駅はどこですかねえ」
もう振り向くことはできなかった。雨が降っているのも構わず、ゴン太のリードを握りしめて走る。
慌てて玄関のドアを開け母親を呼ぶ。
「お母さん!」
「なあに。びしょ濡れじゃあない。しっかり拭かないと風邪ひくわよ」
母は喪服だった。
「お葬式?」
「隣組の〇〇さんのお婆ちゃんが亡くなったんですって。なんでも、〇〇駅まで息子さんの家族を迎えに行く途中に車にはねられたらしのいよ」
嘘でしょ。
あのお婆さんのことではないよね、でも、何度も駅までの道を聞かれた。亡くなっ人に会ったてこと。
「あんた顔色が悪いわよ。雨で風邪ひいたんじゃない。早くお風呂入りなさい。」
私は幽霊と話したのか。そんなことある?
ても、一緒に駅まで行かなくて良かった。実は、2回目にお婆さんに会った時、「駅まで一緒に行きましょうか」と声をかけていたが、歩き出そうとしてもゴン太が動かず、お婆さんだけで行ってしまったのだ。あのまま一緒に行っていたら、私たちは帰ってこれたたろうか。
ゴン太は、あのお婆さんが幽霊だと分かっていたのかもしれない。ゴン太がいてくれて良かった。
ザァーと降っていた通り雨がやみ雲の隙間から太陽の光が照り始めていた。
9/27/2024, 8:18:50 PM