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優が死んだ。

認めたくなくても時間が経つにつれて

認めるしか無くなった。

もう5年も前のことだ。



俺と優は同じクラスで隣の席同士だった。

優は優しいすぎる上

色んな人にいい顔しすぎてウザイなんて

悪口を言われていたりしたが俺はそうは思わなかった。

少し苦労しやすい性格だとは思っていたが

俺はそんな彼に誰にも言えなかった気持ちを話せたり

彼も俺に相談をしてくれて

俺たちはすぐに仲良くなった。

お互いの家に上がって遊んだり

映画を見に行ったり

最高すぎる友達だと思った。


優が死んだあの日

図書室で少しの勉強とバカみたいな雑談をしていた。

「もうそろそろ帰る?」

どちらかのこの言葉で俺たちは帰ることにした。

細かいことはもう忘れてしまった。

外は日が暮れ始めてオレンジ一色になりはじめていた。

俺と優の家は反対方向で駅手前の信号でわかれる。

「そういえばこの間言ってた映画今度観ようよ。」

「それ最高。じゃあ明日学校で予定立てよう。」

「OK。」

こんな感じの会話をずっとしていた。

少し経って駅手前の信号まで来てしまった。

「「じゃまた明日」」

お互いがそう言って歩き始めた。

そのすぐあとだったと思う。

大きなブレーキ音とナニかがぶつかる音が聞こえた。

嫌な予感よりもなんだか変に胸がざわついた。

大きな音への興味と少しの恐怖で

振り向くのが怖くなったのを覚えてる。

振り向くと数分前に優といた場所は

電柱にぶつかりボコボコの車に

アスファルトに寝そべる優がいた。

周りに人だかりができていた。

俺が「優」何度も名前を呼び続ける間

救急車を呼んだり警察を呼んでくれた人達がいた。

俺は目を覚まさない優を

見ていることしか出来なかった。

下手に動かすよりもそのままにした方がいいと思った。

俺は無力だと思った。

目を覚まさない優と優から出る赤い血が

俺を不安にさせた。

救急車の音が聞こえて、俺は意識を失った。

優が助かると思ったから。

救急車で運転手と優が運ばれた。

俺は、母が運転してる車で目を覚ました。

夢だと思いたかった。

でも、それはすぐ夢じゃないことに気づいた。

母が涙声でスピーカーにして電話していた。

相手は優の母だった。

お互いの家を行き来していて

優のお母さんと話す機会もあった。

いつも穏やかな優のお母さんの声が

今は焦った声で優を心配する

不安な気持ちが伝わった気がした。

ふと自分の制服と自分の手を見た。

やっぱりどちらも赤く染まっていた。

俺たちも優の家族も病院に向かったが

すぐ優が死んだことを知った。

苦しかった。

信じたくなかった。

認めたくなかった。

また明日って言ったのに

君と最後に会った日

ずっと楽しい毎日が続くと思ってた。

次遊びに行く予定も立てていたのに

こんなにもすぐに

お別れが来てしまうなんて思いたくなかった。

君と最後に会った日

俺は、また明日を楽しみにしていた。





─────『君と最後に会った日』

6/26/2024, 11:16:16 PM