きつね

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こころが限界だった数年前。
冷蔵庫から卵を取り出した時に手が滑り、床へ落下させてしまいました。

たったそれだけのことなのに、いえ、むしろこれがきっかけだったとでも言うように、こころがぱしゃりと音を立てて壊れるのを感じました。

その時、ふと頭に思い浮かんだ友人へ、助けを求めるように電話をかけました。その友人は少し離れたところへ住んでおりしばらく会っていなかったのですが、何の隔たりもなくすんなりと話を聞いてくれました。

その友人にしてみれば迷惑だったかもしれません。でもそんなことはおくびにも出さず、昔の記憶と変わらぬ声で接してくれることに、こんなにも良き友人がそばにいてくれたということに、涙が出てきました。

いまさら自分の不甲斐なさを嘆いたところで、どうにもならないことは分かっているのです。でも、ただただ聞いてほしい時もある。落下しているわたしの腕を掴んで引っ張り上げてくれた友人には、感謝しかありません。
ありがとう。おかげさまで、生きています。

6/18/2024, 4:27:24 PM