ネジが外れたウサギ

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何も告げず俺の元を去ってしまった元カノは

今頃、どこで何をしているのだろう。

付き合っていた頃の元カノのLINEのアカウントは

もう存在しない。


アイツは自分の今の気持ちを短歌にして

自分のLINEのステータスメッセージに書いていた。

俺はそれを見るのが楽しみだった。

俺への愛を歌ったものなど片手で数えるくらいだが、

逆にそれが重すぎず気楽に読むことができた。

仕事人間のアイツは職場のさまざまな悩みを

ステータスメッセージに書いていた。

今思えばあれがアイツにとっての俺へのSOSだった


アイツには夢があった。

短歌を仕事にしたいという夢が。

穂村弘に憧れて毎月、ダヴィンチを買って応募して

たった一度だけど

採用された時、真っ先に俺に見せてくれた。

あの頃が今でも懐かしく、そして幸せだった。


アイツが珍しく直接、俺のLINEに短歌を送ってきた時

あれが別れの挨拶だったのだろう。

すぐに返信しても既読は永遠につかなかった。

今でも消せないアイツとのやりとり。


「私だけ暗い倉庫に閉じこもり

      日向をくれた君はサファイア」


遠くに行ってしまった元カノは

愛情を与えるサファイアの俺を置いて

新たな良縁を求めルビーを探しに旅立ってしまった


2/9/2025, 8:08:55 AM