雷鳥໒꒱·̩͙. ゚

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―雫―

雫が流れ落ちた
それは無色透明で透き通った雫だった
それは無色透明で透き通った涙だった
この世のものとは思えない程の
耳を劈く奇妙な声が響き渡った
ヒステリックな声が響き渡った
呆気に取られていた
相手のペースに乗せられていた
死に物狂いでこちらに迫る涙と声の主が
ただ私の目に映っていた
でも私はその主の迫力に押され
壁まで引き下がることしか出来なかった
そんな私の目の前で
雫が流れ落ちた
それは深緋色でドロっとした雫だった
それは深緋色でドロっとした血だった
私は膝から崩れ落ちることしか
出来なかった

4/22/2023, 2:17:34 PM