耳を澄ますと
乾いた喉を潤して、ごそごそと寝床に潜り込んだ。
少し目が覚めたか。
腕を伸ばして時計を手に取る。まだ五時過ぎだ。起きるには早いが眠る必要もない。今日は日曜日で、予定も特にない。
真新しい木目調の天井をじっと見つめていた。柄が見分けられるということは、もう夜が明け始めているのだろう。
胸に手を当てる。不思議と心穏やかだった。
少し前まで、こうして眺める天井は白くて近かった。すぐそばに窓があって、徐々に明るくなる窓が怖くて仕方がなかった。上手くいかないことばかりの日々。焦り、悩み、自分を責め、眠れないまま迎える朝日は刺すような眩しさで、私の心をボロボロにした。
私は、変わったのだろうか。
耳を澄ますと、小さな寝息が聞こえた。
寝返りを打つと、私にとって特別な人が目を閉じていた。その口元を見つめ、お前はお前のままでいいと言ってくれた声を思い出す。嬉しくなって、悪戯気分で唇を合わせる。反応がないのが、かえって気恥ずかしかった。
恋人の左腕を抱いて目を閉じる。今朝はもう眠れない気がしたけれど、それでもいいと思った。
5/4/2024, 5:59:58 PM