マーブル色のキャンディーを、あの子は綺麗と言ってくれた。
「あいまいな空が好きなの。」
そう言って口の中でキャンディーを転がす。
「夕焼けと夜の境界線とか、夜と朝焼けの境界線とか。」
ぼんやりしてて、あいまいで。境界線なんかないかもしれないのに。
探してしまう。その瞬間が好きなの。
だから、こういう色のキャンディー、綺麗だと思う。
キャンディーの境界線は探さないの?と、聞くと、
「空と違って、近いからわかっちゃうんだ。境界線なんかない。混ざり合ってるだけだって。」
夢がないでしょ。それでも、綺麗で美しくて、空と違って変わらないから。
ずっと見つめてしまうから。
見つめる前に、口に閉じ込めてしまうの。
あの子はそう言って笑った。
それだけの思い出。
どんなものより美しく、どこまでも甘く、あいまいな思い出。
6/14/2024, 4:33:58 PM