木弓るん

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ミッドナイト

街は静まり返っていた
さっきまでの喧騒が嘘のように
人々は終電に吸い込まれていき
遅くまでやっていることが売りの飲み屋も
のれんを下ろしている

残されたのは散乱したゴミだけ
そんな街をひとり歩く
行き場なんてなかった
どこにも居たくなんてなかった
誰からも忘れ去られ
夜の闇に消えていきたいと思った

だけど

呼び止める声に振り返る
こんな夜のだからこそ
ゴミみたいな自分を認識して
声をかけてくれる人がいることもまた
事実のようだ

1/26/2024, 11:07:42 AM