「どうしてこんなことに……」
変わり果てた姿となったソレを前に彼女は手で顔を覆った。隙間から漏れ出る嘆きと共に静かに涙が頬を伝い服や机に染みをつくる。
その痛ましさに思わず顔を歪めてしまう。彼女にではなく、目の前のソレに。
「だから、分量と火力は守れと、あれほど!」
洒落た名前を冠する筈だった今は名もなき炭の塊に手を合わせる。今回こそは大丈夫だろうと彼女から目を離した俺を恨むがいい。
大雑把な彼女がいつもの豪気さで手を付けた時点で結果は決まっていたのだ。
「……次は一緒に作ろうな」
「…………うん」
/最初から決まってた
8/7/2023, 11:35:52 PM