「放課後」
子どもの頃、学校が苦手だったけれど、親になった今でもやっぱり苦手だ。
放課後、子どもたちが帰った教室の保護者会
「お一人ずつご意見をお願いします」ってやつが苦手だ。
何も考えてなかったのに、最初に当てられて、あわわ、となる。
「宿題の量はどうですか」と話を振られる。
「宿題出さない日があってもいいんじゃないですかね」
なんて、おずおず言ってみる。
ほかの保護者も次々当てられる。出てくる意見は
「もっと宿題出してください。やったかどうか、ちゃんとチェックして」「市内の陸上大会の練習、増やして」「漢字の小テストもっとやって」「クラス対抗のドッヂボール大会、今年はぜひ優勝して」
私はだんだん居心地悪くなって、小さい椅子の上でもじもじする。
丸く並べた椅子に窮屈そうに腰かけた保護者たち。
どうしてここに座ると、真面目で熱心な親の役を演じなきゃならなくなるんだろう。
一人一人の顔から小学生だった頃の面影を探してみる。
知ってるよ。みんな、放課後はのんびりやってたじゃない。
道草して近所の犬をからかったり、ランドセルを地面に投げ出して公園で真っ暗になるまで遊んだり、本屋でマンガの立ち読みしたり。
早く帰りたいなあ、帰り道、何か買い食いしようかな。たい焼きとか。
暗くなっていく校庭を眺めながら、そんなことをぼんやり考える。
10/13/2022, 8:26:04 AM