わをん

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『冬晴れ』

抜けるように青い空の高いところに風がよく吹いて凧がぐんぐんと揚がっていく。小さな軍手をはめて糸を操り、空を見つめている息子の横顔のなんとりりしいことか。ほっぺたは赤く、口はちょっと開いていて、瞳がとてつもなく輝いている。無我夢中を体現したようなこの姿は後世に残すべきだ。スマートフォンのカメラがいつものようにフル稼働して画像フォルダは画面いっぱいに息子のサムネイルで埋め尽くされる。けれどスマートフォンを降ろした瞬間にパパ!と呼びかけられたときの、自分の眼にしか映らなかった笑顔のかわいさたるや、言葉には言い尽くせない。筆舌にも尽くしがたい。逃したシャッターチャンスを悔やんで見上げた空はとてもとても青かった。

1/6/2024, 4:28:27 AM