トト

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13年前のあの日。

会社に居たが、大きな揺れを感じて皆んな外に出た。

地震大国日本。ふだん、多少の揺れくらいでは表情すら微動だにしない、我々も、何かが違うと感じとっていた。

近所の建物からも、大勢の人がぞろぞろ出てきた。

電線が、尋常じゃないくらい揺れていた。

やれやれ、収まったか。

建物の中に戻り、テレビで速報を確認した。

震源地は東北の方らしい。あらゆる被害状況がテレビ画面に映し出された。

そうするうち、何処かの田圃が広がる平野が映されて、

その広大な土地が、津波に呑み込まれる様を見せられた。

解説は、一切なかった。津波は、淡々と、無造作に大地を侵していった。

テレビを数人で見ていたが、誰も声を発せなかった、見たこともない光景に、ただ、あぜんとするしかなかった。



被災地から遠く離れた東京でも、その後はいろいろな事が起こった。

楽しいテレビ番組は中止され、電車がよく止まった。

けれど、誰も、あまり文句を言う人もいなかった。

もっと悲惨な状況を、毎日見せられていたから、

それどころではないのだと、誰もがわかって居たからだろう。

確かに、あの当時は、平穏な日常とは言えなかっただろう。

3/11/2024, 10:21:05 PM