世界の人口は83億人いる。
その中で、人生で出会える人はせいぜい3万人。
そんなわずかな奇跡を、
性別という理由だけで半分にしてしまうのは、
あまりにも勿体ないと思わないか。
誰にでも分け隔てなく優しいところが好きだった。
何かを考えているときの、遠くを見るような沈黙が好きだった。
焦点の合っていないその瞳さえ、好きだった。
――僕は、想が好きだった。
笑ったときの顔が、たまらなく好きだった。
弱いのに、それを隠して強がるところが好きだった。
たった一人を、まっすぐに愛し続ける姿が好きだった。
――僕は、茜が好きだった。
正しいとされる愛の形を、僕は親から教わった。
同じ価値観を、社会からも繰り返し刷り込まれた。
多様性の時代だと言われるこの世界で、
受け入れられているのは、いつも「理解しているふり」だけだ。
梶原唯月の気持ちは一度も守られなかった。
降り積もる思い
12/22/2025, 6:49:02 AM