「お気に入り」
指先でボールペンをクルクルと回していると、隣りの席の女子社員が声をかけてきた。
「そのキャラクター好きなんですか?」
「あ、コレ?
もらったんだ」
少し笑いながらそう返すと、意外そうな顔をされた。
「てっきり、スゴくお気に入りなのかと思ってました。
だって、時々、スゴく愛おしそうな顔して見てるので」
手にしているボールペンには、猫のキャラクターのイラストが描かれている。
大人の男が持つにはかわいすぎるモノだというコトは理解している。
でも、意外に書きやすい。
そう、書きやすいんだ。
決して、アイツにもらったから、、、とかではない。
-なんとなく似てるな、、、と思って買っちゃいました。
そう言いながら、アイツは渡してくると
-その代わり、それと交換してください。
俺が愛用していたボールペンを奪っていった。
「顔」
女子社員が突然そう言った。
「え?」
「顔、ゆるんでますよ?」
一瞬にして自分の顔が赤くなったのがわかった。
2/17/2024, 12:32:05 PM