「彼の輝きを」
私を救い出してくれた彼に触れることなど許されない。
だけど、一目でいいからその姿を見たい。
バイトを掛け持ちして節約もして、指折り数える。
人の多さに圧倒されつつ、姿を現した彼に涙が溢れた。
明日が来るなんて信じられなかった日々。
闇が延々と続くと思っていた。
真っ暗でも目を開けていれば段々と慣れていき、やがて微かな光を見つけることが出来る。
彼が教えてくれたことを、私はきっとこの命が尽きるまで忘れない。
私を見て──なんて、言うつもりはないし、私のことなど一生認識しなくていい。
もしもその輝きが衰える日が来たとしても、私はきっと彼の輝きを見失わないだろうから。
──── 一筋の光
11/6/2024, 6:51:52 AM