喜村

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 カーテンの隙間からさしこむ光で目が覚めた。
時間はまだ五時。さすがに早い、まだ二度寝ができる許容範囲である。
(……ん? 朝日?)
 ぼーっとしたまま、しばしその光を眺めた。
 今は梅雨で、雨が続いている。久々に朝日を見た気がしたのだ。
 もし、日中に雨があがって、太陽が出てきたとしても、それはギラギラの夏に近い太陽である。
 でも、朝日はそんな攻撃的ではなく、朝ですよ、と、柔らかく包み込むような温もりを感じる。
 しかし彼女は寝返りをうち、朝日に背を向けた。
 朝日の温もりも心地よいが、今は布団の温もりの方が、何倍も気持ちがよいようだ。


【朝日の温もり】

6/9/2023, 10:42:42 AM