霧夜

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小さな命に、溢れんばかりの愛情を

そして、また生まれるかもしれない新しく小さい命へと

その愛情が、受け継がれてくれますように


---二作目---

こいつは、自分に向けられる愛情に兎に角疎い、と言うかそもそも受け取ろうとすらしない。
俺からの愛情は全くと言っていいほど受け取らない。


そりゃ、必要最低限程は受け取っていると思う。
俺がお前のことを好きなのだと、それは伝わっているらしい。
というかそれすら伝わってなかったら困る。
...でも伝わっていると言っても、そんなの、俺からしてみれば雀の涙ほどの量なのだ。

もっともっと、俺はあいつに愛情を注ぎたいというのに。
どんな方法を使っても、それをのらりくらりとかわされる。
もし受け取ってくれたとしても、それは直ぐに零れ落ちてしまうのだ。
...まるで愛情を受け取る器に穴が空いているかのように。

俺はそれが、酷く悲しかった。

...だから俺は、沢山沢山、愛情を注ぐ。
優しく、そして心を込めて。
どんなに零れ落ちてもいい、どんなにかわされてもいい。

好きなのだと、大好きなのだと、愛しているのだと。

諦めずに少しづつ注いで
器に穴が空いているのなら、その器自体に染み込ませてやればいいと言うように。

...いつか、あいつが本当に、自ら。
俺の愛を受け取ってくれるようになるまで。

#愛を注いで
148作目

12/13/2023, 10:46:11 AM