妹を救うため、彼は走った。
嵐が来ようとも、彼はひたすら走った。
怒号を浴びても、彼は妹のところへ向かって走り続けた。
路地裏を進み、狭い小道を進み、
ついに、古びたダンボール箱の前までたどり着いた。
彼は妹の名を呼ぶ。
しかし返答はない。
辺りを探しても妹の姿はない。
すると、背後から足音が聞こえた。
慎重にふりかえると、
そこには妹を抱えた大きな人間が立っていた。
彼は、咄嗟に「俺の妹を離せっ!!」と必死に言うが、
人間は動じず、微笑んでいる。
人間は、「怖がらないで、」と言うが、
彼には伝わらない。
その時、妹が人間の腕からジャンプをして、
彼のもとへ近づき、こう言った。
「この人ね、空腹で瀕死状態だった私を助けてくれたの!」
彼は目を丸くした。
「、、、へ?」
呆気にとられていると、人間が近づき、手を伸ばしてきた。
彼は少し考えたあと、意を決して人間の手にそーっと近寄る。
すると、人間は柔和な笑顔を見せ、
彼を優しく撫でた。
7/29/2024, 10:22:06 PM