依泡月夜

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あなたと出会って一年が経つ。

わたしを見てくれたのはあなただけだった。
道端で蹲るわたしに手を差し伸べてくれたあの日。
はじめて世界が美しいと思った。

誰もがわたしをいないものとして扱う。
わたしが泣いたところで何も変わらない。
むしろ皆を傷付けてしまう。
生まれた意味なんて知らずに人形のように生きてきた。
それがとても窮屈で辛かった。

あなたの手がわたしの手に触れたとき人の温もりを知った。

奪ってばかりのわたしに優しさをくれたあなた。
今はもういないあなた。
わたしと出会ってしまったせいで温かさを失ったあなた。

わたしはあなたに救われました。
けれどあなたはわたしに奪われてしまいました。

願いが叶うのならば。
あなたがもう二度とわたしと出会いませんように。

5/8/2024, 11:36:03 AM