舞の奉納。
沢山の楽器から音が奏でられ、私は音に合わせて舞う。
全身は力を抜き、感覚を研ぎ澄ませる。
舞は靭やかで、柔らかい動きを意識するが、
私は男なので、どうしても女性の舞より硬くなる。
しかし、同時に私の舞は力強く、冴えがある。
それぞれの舞に良さがある。
しゃらしゃらと鈴を鳴らしながら、舞う。
ひらひらと扇子を反しながら、舞う。
ふわふわと羽衣を翻しながら、舞う。
舞を奉納する時、いつも感じる。
まるで、私は人間では無くなったようだと。
不思議と緊張せず、寧ろ、落ち着く。
沢山の奏でられた、美しい音を聴き続けたくなる。
ゆっくりと時が進み、ずっと舞っていたくなる。
ずっと、此処に居たくなる。
夢見心地とは、きっとこの事を言うのだろう。
この時が、永遠に続けば良いのに。
7/28/2024, 11:34:45 PM