遠くの空へ行くのだろう。鳥の群れを見上げてあなたはそう言った。翼があれば、今にも飛び去ってしまいそうに軽やかなのに。背負ったものの重さで飛べないわたしと手なんか繋いでいるから。あなたもいつか、遠くの空へ行くの。たずねたわたしの手を、あなたは握り直した。きみがいるから、ぼくは地上の生き物でいられるんだ。微笑むあなたの目が鳥を見失ったのを見て、わたしはひどく安心した。
4/12/2024, 3:49:55 PM