猫背の犬

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ひとりで幸せになっちゃった君を僕はたぶんずっと許せない。僕と同じように苦しんでほしかった。
僕のことはもう忘れちゃった? てか、そこからじゃなんも見えないか。それでも僕の声が聞こえてるなら、かつては君もここに居たことを忘れないで。
君は、僕の隣で、その場所を見上げながら呪いの言葉を吐き連ねてた。僕たちは同じ痛みを共有してた。なのに、君は突如として僕に黒いものすべてを押し付けて、そこに行った。涙を流して、唇を噛み締めながら、許せないって言ってた人と幸せになろうとしている。君は、幸せになろとしてる。身勝手な君は、幸せになろうとしている。
許してとかごめんねとかそんな言葉が欲しいわけじゃないよ。ただ、僕のこと忘れないで。僕のことを覚えたまま、幸せになって。なれるよね。なれるよ。君は最低だから。死ぬほど最低だから。
君の涙は黒い。純白のドレスも鈍色に澱んでる。綺麗になったつもりだけど、僕には君の穢れがぜんぶ見えるよ。僕は君の黒いものを受け取ってやらない。返しに来たんだ。ぜんぶ、ぜんぶ抱えたまま、幸せになって。ちゃんと幸せになってね。

3/31/2024, 11:49:26 AM