今日、高校の合格発表だった。
第一志望である芸術高校だ。
芸術という分野で国内トップを走るこの学校に、入学する為にがんばってきた結果がでたのだ。
「私の番号は2809…。」
張り出された合格番号表の中から、祈るような気持ちで自分の番号を探した。
桁をさらい、一瞬で2000番台後半に視線を送る。
「2805…2806……」
どきどきしながら自分の番号の前を見つめていく。
(そろそろ私の番号……)
そう思ったとき、急に桁の数字が変わった。
3000番台に入ったのだ。
「え……?」
視界に入ったのは3009番。
その前の番号は2806番だ。
「嘘…落ちた……?」
自分が受からなかったという現実が受けとめきれなかった私は、そこからの記憶がない。
ふと気がつけば、小高い丘の上にある小さな公園のジャングルジムにいたのだ。
もう日が暮れてどっぷりと暗くなった世界で、私は地面を見た。
「なんてこんなとこにいるんたろ…。」
そう呟きながらふと空を見上げたときだった。
頭上に満天の星が輝いていたのだ。
「わぁ……。」
まるで空で星が溢れてるかのように見える光景に、頬が自然と緩んでいく。
それと同時に『受験に落ちてしまった悲しみ』は薄れていくのを感じたのだ。
「…なにもあの高校に入らなきゃできないなんてことはないよね。他にだって…道はある。」
空に溢れかえってる星たちは、一つずつちゃんと輝いている。
それはまるで一人一人の未来を視てるようで、『輝くための道は一つじゃない』と教えてくれてるようだった。
「よしっ。」
私は満天の星を背負い、帰路についたのだった。
3/15/2024, 12:00:54 PM