はた織

Open App

 公園の生垣の隙間に蝶がいる。
 茶色の蝶がひらひらと飛んでいる。
 いやよく見れば、落ち葉だ。
 落ち葉が蜘蛛の糸に引っかかって、
 くるくると回っているだけだ。
 本当にそうだろうか。
 落ちない落ち葉が蜘蛛の糸に縋って
 蝶の夢を見ているかもしれない。
 はたまた、
 蝶が落ちない落ち葉の夢を見ている可能性もある。
 裏表くるくると回って、
 葉先と羽先をひらひらと羽ばたいて、
 風に捕まってもらおうと必死だ。
 私をすくって欲しいと言いたげである。
 延々と落ちずにいる枯葉を採ってほしくて、
 永遠と逃げ出せずにいる胡蝶を取ってほしくて、
 ぐるぐると藻搔いている。
 風は煽る。
 そんなに落ちたいなら落ちれば良いじゃない。
 そんなに逃げたいなら逃げれば良いじゃない。
 いっそのこと、蜘蛛の釣り餌になって仲間を増やせば良いじゃない。
 落ちない葉と飛べない蝶はまだ回って羽ばたいている。
 終わらない白昼夢から目覚められない。
                 (250716 真昼の夢)
 

7/16/2025, 1:33:31 PM