たーくん。

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学校の掲示板に貼り出されたテスト結果の順位表。
僕の順位は……一位ではなく、二位。
一位以外になったのは、今回が初めてだ。
「ふふ、今回は私の勝ちだね」
隣に、いつの間にか同じクラスの朝倉さんがいた。
彼女が、今回一位になった女子。
朝倉さんは明るくて、クラスの皆の人気者で、僕とは真逆の性格。
僕は羅針盤の針のように、乱れず、真っ直ぐ生きてきたはずなのに。
朝倉さんの存在が、針を乱す。
「ねぇ、関口君」
「えっ……?」
朝倉さんの顔が、近づいてくる。
「本当の実力はこんなものじゃないでしょ?次のテストで一位になったら……関口君の言うこと、なんでも聞いてあげるよ?」
耳元で朝倉さんに囁かれて、心の羅針盤の針が更に乱れてしまう。
「それじゃあまた教室でねっ」
そう言って、朝倉さんは教室へ戻っていく。
僕の心の羅針盤の針は、止まらなくなった。

8/7/2025, 10:18:07 PM