tifon

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道なんてない
足もとに広がる巨大な赤いこの岩盤を
容赦なく陽が照りつけるなか 歩く

隠れる木陰も水場もない
おおよその方角と
先を行った人々の置いた石くれを頼りに

この石を辿る私たちの足跡を道と呼べるなら
その先にあるものは
炎天のめまいと疲労のなかで夢見るものは

誰かが見たと言う素晴らしい景色
そこにしかない奇跡のような
水筒の水を口に含んでは印の石を探し

日が暮れるまえに
滑りやすい足もとが確かなうちに
歩いていく 道などなくても



「この道の先に」

#455

7/4/2024, 1:12:30 AM