飴玉

Open App

こんにちは、椿です。


昔話でもしましょうか。興味が無いなら飛ばしてくださって大丈夫ですよ。


私の隣には、昔、それは美しい椿が咲いていました。


無論、その頃はただの椿でしたから、口などはなく、会話もできず。


その椿だけは別格に美しかったのです。


あの椿の隣で咲き誇っていたかった。


あの椿は別格だった。


私だけがただあの椿を見る方向で咲いていたので、あの椿の美しさを眺められたのです。


幸せでした。


時の流れと共に、その椿の花が枯れ、私も枯れ、妖怪となったわけですけれど。


まだ、あの椿の美しさは忘れていません。


美しい椿。人型になったらば、私と言葉を交わして欲しい。


美しい椿。椿の花になったらば、貴方と同じ枝で咲き誇りたい。


ただ、貴女と共に咲き誇りたい。そう思います。

1/6/2024, 11:52:56 PM