Rutu

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たとえ間違いだったとしても、君には私を好きでいて欲しい。


今日は人生で1番最悪で最高な誕生日だった。自分の誕生日と大会が被るなんて誰も考えやしないだろう。私は部活に命をかけている。だってもう…先輩の居なくなった今、ここでは私の命なんて必要無いもの。1週間前に調整メニューに入って1週間前からネットは使っていない。自分に縛りをかけていた。筋トレ、ランニング、スタート練習。当日へ最高のコンディションで。当日の勝利をこの手に。だが、去年と少しメニューを調整してしまったことによって今日はボロクソに殺られた。底辺まで叩き落とされ…でも、去年の最後の大会よりは記録が伸びて。周りが成長しているのはわかる。技術がはるかに上がっているのだから。
メンタルもボロクソにされてしまった私の最後の願い。今日を誕生日だということすら忘れていた私のことを祝って欲しい、幼馴染くんに。せめて、今日くらいはそれを華にさせてくれ。

「ねぇ、君。最後に1つお願いしていい?」

「ん?何?」

「私の誕生日。祝って欲しい。あと、メガネ外して欲しい笑」

「おめでとうございまぁす」

君の笑顔に私は救われてしまった。今日の記録のことも、君のおかげで許して貰える気がした。君は最後、車に乗り込む前に私を呼んだ。

「チラッ (てへっ)」

振り返った私に君はメガネを外しておちゃらけたんだ。

家に帰ると、私は家族からボロクソに言われる。1人。部屋で赤く染まった腕と痛むお腹を抱えながら私はまた君の名前を叫び続けるんだ。助けてなんて届きやしないのに。

4/22/2023, 10:41:31 AM